7月20日から21日にかけて、思いのほか良質な募集が重なりました。結果として10ファンド・合計86万円を申し込むことに。
驚いたのは利回りの幅です。TORCHESの年利16.0%という尖った案件から、COZUCHIの中長期インカム型4.0%まで。同じ「不動産クラウドファンディング」という括りでも、狙っているリターンの性質はまったく別物です。この記事では、それぞれのファンドをなぜ選んだのかを整理していきます。
今回の申込一覧
| # | プラットフォーム | ファンド名 | 利回り | 運用期間 | 申込額 | 方式 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | TORCHES | No.51 港区芝2丁目ファンド | 16.0% | 6ヶ月 | 100,000円 | 抽選 |
| 2 | COZUCHI | No.O-102 渋谷区代々木上原一棟マンション | 4.5% | 36ヶ月 | 100,000円 | 抽選 |
| 3 | COZUCHI | No.O-120 京都 “node hotel” | 5.65% | 約4年1ヶ月 | 100,000円 | 抽選 |
| 4 | COZUCHI | No.O-132 渋谷区笹塚3丁目 プロジェクト | 4.0% | 36ヶ月 | 100,000円 | 抽選 |
| 5 | COZUCHI | No.O-139 表参道 骨董通りプロジェクト | 6.0% | 36ヶ月 | 100,000円 | 抽選 |
| 6 | LENDEX | ローンファンド1896号 | 9.50% | 11ヶ月 | 50,000円 | 先着 |
| 7 | LENDEX | ローンファンド1898号 | 9.50% | 11ヶ月 | 40,000円 | 先着 |
| 8 | TSON FUNDING | AI勝率一番180 48号(三重県桑名市星川) | 5.5% | 180日 | 100,000円 | 先着 |
| 9 | NINE FUND | Vol.20(札幌市東区) | 7.9% | 214日 | 100,000円 | 抽選 |
| 10 | AGクラウドファンディング | 不動産担保ローンファンド#193(世田谷区) | 5.0% | 1年10ヶ月 | 70,000円 | 先着 |
合計 860,000円。加重平均利回りはおよそ7.4%です。
【1】TORCHES No.51 港区芝2丁目 ― 年利16%の理由を考える
今回の目玉はこれです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 想定利回り | 年16.0% |
| 運用期間 | 6ヶ月(2026/7/31〜2027/1/29) |
| 募集金額 | 2億1,285万円 |
| 優先劣後比率 | 99:1 |
| 所在地 | 東京都港区芝2-23-5 |
| 物件種別 | 居宅(木造ガルバリウム鋼板葺3階建)/土地借地権85.97㎡ |
| 応募状況 | 185%(3億9,413万円) |
立地は文句なし
都営三田線「芝公園駅」徒歩6分。しかも徒歩圏内に7駅7路線が集まるエリアです。港区芝という住所そのものが、東京の不動産としては上位の安心感を持っています。
ただし優先劣後比率99:1は要注意
ここが冷静に見るべきポイント。劣後出資はわずか1%です。つまり物件価格が1%下落しただけで、投資家の元本が毀損し始める計算になります。COZUCHIの2.5%前後と比べても薄い。
年利16%は、この薄い劣後比率と借地権という権利形態に対するリターンだと理解しておくべきでしょう。所有権ではなく借地権なので、流動性・出口の面で通常の物件より難度が上がります。
それでも6ヶ月という短期であること、港区芝という立地の底堅さ、そして185%という応募状況(=市場も同じ判断をしている)を踏まえ、10万円という抑えた金額で参加することにしました。利回りに惹かれて突っ込む金額ではない、という線引きです。
【2〜5】COZUCHI 4ファンド ― 中長期インカム型をまとめて確保
COZUCHIからは4本。いずれも中長期運用型で、性格が明確に分かれています。
No.O-102 渋谷区代々木上原一棟マンション(4.5%/36ヶ月)
渋谷区上原1丁目の賃貸マンション1棟。小規模修繕によるバリューアップと、維持管理・賃貸条件の見直しで収益性を上げてから売却する、という王道のバリューアップ戦略です。代々木上原という住宅地としてのブランドは長期で崩れにくい。
No.O-120 京都 “node hotel”(5.65%/約4年1ヶ月)
個人的に今回いちばん面白いと思ったファンドです。
ブティックホテル「node hotel」の土地建物が対象で、株式会社CANATAとマスターリース契約(賃料固定)を締結予定。つまりホテルの稼働率が上下しても、こちらに入る賃料は固定という設計です。インカム部分だけで年利4.8%が確保されている点が効いています。
立地は阪急京都線「烏丸」駅・地下鉄「四条」駅ともに徒歩約6分。京都の中心中の中心です。運用期間は4年超と長いですが、中長期型なのでいつでも換金申請ができる。この「長期だけど閉じ込められない」構造が、長期案件のハードルをかなり下げてくれます。
No.O-132 渋谷区笹塚3丁目 プロジェクト(4.0%/36ヶ月)
京王線「笹塚」駅徒歩6分、RC造5階建の店舗付き住宅。劣後出資割合2.6%。想定インカム利回りは2.4%で、残りはキャピタル次第という構成です。今回の10本の中では最も利回りが低いのですが、その分ポートフォリオの重心として機能してもらう位置づけです。
No.O-139 表参道 骨董通りプロジェクト(6.0%/36ヶ月)
東京メトロ「表参道」駅徒歩5分、骨董通り沿いの土地と建物低層部(事務所4フロア+駐車場)。劣後出資割合2.5%。
中長期型で6.0%は素直に高いと思います。事務所・駐車場からの安定賃料を配当原資にしつつ、修繕で資産価値を上げていく方針。表参道の骨董通り沿いという、代替の効かない立地が担保になっています。
COZUCHI 4本をまとめて申し込んだ理由
利回り4.0%〜6.0%と地味に見えますが、これらはTORCHESの16%とは役割が違います。3年前後の期間、東京都心と京都中心部の実物不動産から賃料が入り続ける枠を確保する、という設計です。高利回り短期案件は当たり外れの波が大きいので、その波を吸収する土台がいる。
なお、これらのファンドは初回募集が過去に完了しており、今回申し込んだ回では利回り・残存期間が募集時点の条件に調整されている場合があります。実際の適用条件は当選後の書面で確認が必要です。
【6・7】LENDEX 1896号・1898号 ― 9.50%を2本
LENDEXからは2本。どちらも予定利回り年9.50%(税引前)、運用期間11ヶ月です。
| 項目 | 1896号 | 1898号 |
|---|---|---|
| 予定利回り | 9.50% | 9.50% |
| 運用期間 | 11ヶ月(2026/7/31〜2027/6/30) | 11ヶ月(2026/8/1〜2027/6/30) |
| 募集金額 | 1,001万円 | 4,001万円 |
| 主な対象 | 千葉県千葉市の一棟アパート(手付金1,000万円) | 埼玉県さいたま市の一棟マンション(手付金4,000万円) |
| 保全 | 無担保・連帯保証人付・公正証書有 | 無担保・連帯保証人付・公正証書有 |
| 申込額 | 50,000円 | 40,000円 |
「無担保」をどう見るか
LENDEXは不動産担保付き案件のイメージが強いプラットフォームですが、この2本はいずれも無担保です。連帯保証人と公正証書で保全を図る構成で、しかも1898号については連帯保証人が個人資産による保証ではなく元金・配当の保証にとどまります。
さらに両ファンドとも用途は不動産購入の手付金。物件そのものを担保に取れる段階ではないため、構造的に無担保にならざるを得ない案件です。
だからこそ、9.50%という利回りに対して申込額を5万円・4万円と絞りました。利回りが高いから多く入れる、ではなく、保全が薄いから金額を絞る。ここは徹底したいところです。
【8】TSON FUNDING AI勝率一番180 48号 ― 空室保証付きの手堅さ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 想定利回り | 年5.5% |
| 運用期間 | 180日 |
| 募集金額 | 9,940万円(994口) |
| 優先劣後比率 | 90:10 |
| 所在地 | 三重県桑名市大字星川字谷口 |
| 物件 | 新築メゾネット型賃貸住宅(2棟9戸・木造2×4) |
劣後出資10%。今回の10本の中で最も厚いクッションです。TORCHESの1%と比べると、リスク許容度の差は歴然としています。
物件は三岐鉄道北勢線「星川」駅徒歩約6分の新築メゾネット。2027年1月完成予定で、完成後は空室保証が付帯します。地方案件で最も怖いのは入居が埋まらないことですが、そこを保証で潰してある。
利回り5.5%・180日というのは派手さがまったくない数字です。ただ、劣後10%+空室保証+新築という三重の守りを考えると、この利回りは十分に納得できます。
【9】NINE FUND Vol.20 ― インカム型で7.9%は珍しい
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 想定利回り | 年7.9% |
| 運用期間 | 214日(2026/7/31〜2027/3/1) |
| 募集金額 | 5,000万円 |
| 所在地 | 北海道札幌市東区北十一条東十丁目 |
| 物件 | 共同住宅(RC陸屋根8階建・延床1,250.24㎡・21戸) |
| 資本構成 | 借入1億8,934.5万円/優先出資5,000万円/劣後出資3,465.5万円 |
| 応募状況 | 274% |
事業者側が総事業費の約12%を劣後出資しています。これはかなり厚い。
そして注目すべきは、インカム型でありながら7.9%という点です。キャピタルゲイン狙いのファンドが高利回りを出すのは珍しくありませんが、賃料収入ベースで7.9%を組めているのは構造として素直に評価できます。RC造8階建・21戸という規模も、賃料収入の安定性に寄与するはずです。
応募274%。抽選は厳しそうですが、当たれば嬉しい1本です。
【10】AGクラウドファンディング #193 ― 上場企業向け・不動産担保付き
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 想定利回り | 年5.0% |
| 運用期間 | 1年10ヶ月 |
| 担保 | 東京都世田谷区の土地建物(小田急線「経堂」駅徒歩5分) |
| 貸付先 | 東証スタンダード市場上場の老舗企業 |
| 方式 | 先着(7/21 12:00〜7/28 23:59) |
| 申込額 | 70,000円 |
これは今回の中で最も安心して置ける枠だと考えています。
理由は3つ重なっています。まず運営元がアイフルグループであること。次に貸付先が東証スタンダード上場の老舗企業であること。そして担保が世田谷区・経堂駅徒歩5分の土地建物であること。
さらに出口も明確で、マンション開発後の売却が予定されており、竣工後のマンションも追加担保に設定されます。担保が時間とともに厚くなる設計です。
利回り5.0%は控えめですが、上場企業向け・都内一等地担保・グループ信用力という条件でこの数字なら、リスク調整後のリターンとしては悪くない。#181の追加募集案件である点も、実績が見えている安心感につながります。
リスクと対策の整理
| リスク | 該当ファンド | 対策・考え方 |
|---|---|---|
| 劣後出資が薄い(1%) | TORCHES No.51 | 申込額を10万円に限定。6ヶ月短期で市況変動の影響を抑制 |
| 借地権のため流動性が低い | TORCHES No.51 | 港区芝・7駅7路線という代替困難な立地で需要を担保 |
| 無担保・手付金用途 | LENDEX 1896・1898 | 申込額を5万円・4万円に絞る。連帯保証人+公正証書を確認 |
| 運用期間が4年超と長い | COZUCHI O-120 | 中長期型でいつでも換金申請可能。マスターリースで賃料固定 |
| 地方物件の空室リスク | TSON 48号 | 完成後の空室保証付帯。劣後10%のクッション |
| 札幌の賃貸需給 | NINE FUND Vol.20 | 事業者が約12%を劣後出資。RC造21戸で分散 |
| 抽選に外れる可能性 | 抽選5本 | 先着5本(LENDEX×2・TSON・AG)で確実な枠を並行確保 |
抽選5本・先着5本という配分は意図的です。抽選が全滅しても、先着分の26万円は確実に運用に入る。逆に抽選が全部当たっても総額86万円で収まる。この上下のブレを許容できる範囲に収めておくのが、複数申込のときの基本だと思っています。
期待リターンを計算してみる
税引前利益=申込金額 × 利回り × (運用日数 ÷ 365)
税引後利益=税引前利益 × (1 − 0.2042)
| ファンド | 申込額 | 利回り | 日数 | 税引前 | 税引後 |
|---|---|---|---|---|---|
| TORCHES No.51 | 100,000円 | 16.0% | 182日 | 7,978円 | 6,349円 |
| LENDEX 1896号 | 50,000円 | 9.50% | 334日 | 4,347円 | 3,459円 |
| LENDEX 1898号 | 40,000円 | 9.50% | 333日 | 3,467円 | 2,759円 |
| TSON 48号 | 100,000円 | 5.5% | 180日 | 2,712円 | 2,158円 |
| NINE FUND Vol.20 | 100,000円 | 7.9% | 214日 | 4,632円 | 3,686円 |
| AG #193 | 70,000円 | 5.0% | 670日 | 6,425円 | 5,113円 |
短期・中期の6本だけで、税引後 23,524円 の見込みです。
COZUCHI 4本は運用期間が3〜4年と長いため、年あたりで見てみます。
| ファンド | 申込額 | 利回り | 年間税引前 | 年間税引後 |
|---|---|---|---|---|
| O-102 代々木上原 | 100,000円 | 4.5% | 4,500円 | 3,581円 |
| O-120 京都 node hotel | 100,000円 | 5.65% | 5,650円 | 4,497円 |
| O-132 笹塚3丁目 | 100,000円 | 4.0% | 4,000円 | 3,183円 |
| O-139 表参道 骨董通り | 100,000円 | 6.0% | 6,000円 | 4,775円 |
COZUCHI 4本合計で年間 税引後 16,036円。3年運用ならおよそ4.8万円が積み上がる計算です。
全ファンドが当選した場合、初年度の税引後リターンはおおむね3.5万円前後、その後もCOZUCHI分が数年にわたって効き続けます。
まとめ
今回の10ファンドは、意図してリスクの階層を分けました。
- 攻め(16.0%) ― TORCHES No.51。劣後1%・借地権というリスクを承知の上で、6ヶ月・10万円に限定して取る
- 中位(7.9〜9.5%) ― LENDEX 2本、NINE FUND。保全の薄さや地域リスクに応じて金額を調整
- 土台(4.0〜6.0%) ― COZUCHI 4本、TSON、AG。都心・京都中心部の実物不動産、上場企業向け担保付き、劣後10%+空室保証
高利回りだけを集めても、低利回りだけを集めても、ポートフォリオは安定しません。 16%を1本だけ持つのと、16%を10本持つのはまったく別の話です。今回86万円という金額を10本に割ったのは、そのバランスを取るためでした。
特に気に入っているのは、COZUCHIの京都 node hotel(マスターリースで賃料固定)と、AGの#193(担保が竣工後に厚くなる)です。利回りの数字ではなく構造で守られているファンドは、長く持つほど効いてきます。
抽選5本の結果が出るのは今週中。ご縁があればいいなと思いつつ、次の募集も見ていきます。

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