先月に引き続き、ソーシャルレンディング(SL)と不動産クラウドファンディング(不動産CF)の主要26社について、最新の危険度調査を実施した。
前回(6月1日)の調査から1か月足らずだが、業界には新たな動きがある。クラウドバンクの遅延率が33%(金額ベース40%)に悪化し、みんなで大家さんに84名・4.55億円の追加返還命令判決が出た。さらに、2026年5月から期待リターン根拠の開示義務化がスタートするなど、規制面でも変化が起きている。
危険度ランキング TOP10(2026年6月27日時点)
| 順位 | 事業者 | 危険度 | 主な理由 |
|---|---|---|---|
| 1 | みんなで大家さん | ★★★★★ | 集団訴訟・複数判決・差し押さえ・全面停止 |
| 2 | ヤマワケエステート | ★★★★★ | 行政処分・元本毀損・資金不正流用 |
| 3 | ダイムラーファンド | ★★★★★ | 運営会社破産・回収不能 |
| 4 | クラウドバンク | ★★★★☆ | 遅延率33%に悪化・未回収24.3億円 |
| 5 | COZUCHI | ★★☆☆☆ | 運用延長の情報開示後退 |
| 6 | TECROWD | ★★☆☆☆ | 海外案件の地政学リスク |
| 7 | TSON FUNDING | ★★☆☆☆ | 親会社の上場廃止 |
| 8 | Alterna Bank | ★★☆☆☆ | 実績期間が短い |
| 9 | Victory Fund | ★★☆☆☆ | 非上場・歴史浅い |
| 10 | CAPIMA | ★★☆☆☆ | 歴史浅い・実績限定的 |
前回からの変化:クラウドバンクを★3→★4に引き上げ。遅延率が33%に達したことは、単なる「一部の遅延」ではなく、ポートフォリオの1/3が動けない状態。投資家にとって無視できない水準だ。
★★★★★ 最危険:3社の最新状況
みんなで大家さん——6月に追加判決、しかし回収は困難
6月5日、大阪地裁は新潟県など25都道府県の84出資者に対し約4億5,500万円の全額返金を命じた。3月の初判決(3名・約1,700万円)に続く2件目の判決だ。
しかし運営会社グループは資産差し押さえを受けた状態で、「勝訴しても回収できない」構図に変わりはない。原告約2,500人・請求額約232億円の集団訴訟は続く。
ヤマワケエステート——業務停止明けも信頼回復は遠い
4月24日に業務停止期間は終了したが、21本以上の遅延ファンドと元本19.77%毀損の事実は消えない。親会社REVOLUTIONの50億円増資の効果も不透明だ。
ダイムラーファンド——破産手続き中、出資金は「劣後的債権」
匿名組合出資は破産時に最も低い弁済順位となる。負債総額3.3億円に対し、出資者約300人の資金回収はほぼ絶望的。
今回の注目:クラウドバンクの急速な悪化
前回調査では「過去2回の行政処分」「一部遅延」という評価だったが、今回の調査で運用中ファンドの33%が償還遅延中(金額ベースで約40%)という深刻な数字が判明した。
特にAH社中小企業支援型ローンファンド(総額44億円)では未回収額が24.3億円に達しており、法的措置も長期化している。ある投資家は「2,000万円が遅延中」と証言。
クラウドバンクは累計分配金こそ多いが、現在進行形でファンドの1/3が動けない状態というのは、投資家として重く受け止めるべきだ。
業界の新しい動き:期待リターン根拠の開示義務化
2026年5月から、不動産クラウドファンディングにおける期待リターンの根拠開示が義務化される方向で進んでいる(9月実施予定)。これまで「利回り〇%」と掲げるだけで根拠を示さない事業者もあったが、今後は「なぜその利回りが出せるのか」の説明が求められる。
らくたまはこの動きを「大歓迎」とし、業界の健全化に積極的な姿勢を見せている。
比較的信頼性が高い事業者
| 事業者 | 評価ポイント |
|---|---|
| Funds | 上場企業融資のみ。元本割れゼロ |
| CREAL | 東証グロース上場。元本割れゼロ |
| OwnersBook | 東証プライム上場。不動産担保付き |
| LENDEX | 累計700ファンド、遅延・元本割れゼロ |
| AGクラウドファンディング | アイフル子会社。50年超のノウハウ |
| RIMPLE | 東証プライム上場 |
| COMMOSUS | 元本償還率100%。情報開示充実 |
| らくたま | 元本割れゼロ・延長ゼロ。規制改革に積極的 |
投資家として取るべき5つのスタンス
- 運用延長が出たら即確認——理由・根拠・延長期間を事業者に直接問い合わせる
- 一社集中を避ける——特にクラウドバンクに大きなポジションがある人は分散を検討
- 利回り8%超は根拠を問う——9月からの開示義務化を先取りして確認する習慣をつける
- 決算書・四半期レポートを定期チェック——開示しない事業者はそれ自体が警戒サイン
- SNSで事業者名を定期検索——楽待・X・投資家ブログで問題の早期把握を
まとめ
前回調査から1か月で、クラウドバンクの遅延率悪化とみんなで大家さんの追加判決という2つの重要な動きがあった。
業界全体では、高利回り競争の副作用が次々と表面化している。一方で、期待リターン根拠の開示義務化という規制の前進もあり、健全な事業者と問題のある事業者の差がこれまで以上に可視化されていく方向だ。
表面的な利回りではなく、透明性・説明責任・問題発生時の誠実な対応を軸に事業者を選ぶ——この原則は、前回から変わらない。
本記事は2026年6月27日時点の公開情報をもとに作成しています。投資判断は自己責任でお願いします。

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